映画の一刻 ~日常とシネマの旅~ 第11便『アドバンスト・スタイル そのファッションが人生』2015.8.8sat – 8.21fri @シネマ5

大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。
一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。
個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。

そして何より空間が素晴らしい。
そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。

今回の旅は、『アドバンスト・スタイル そのファッションが人生』
どうぞ、お楽しみください!

大西明美さんへのインタビュー記事はこちら。

 

第十一便『アドバンスト•スタイル そのファッションが人生』

 

今回の旅は、おばあちゃんへの旅。

映画料金には60歳以上の方にシニア割引(シネマ5は1000円になる)というのがあります。そして、シネマ5の受付で毎日必ず交わされる、会話があります。

受付の私の前に女性がやってきます。
私 「一般料金1800円です」
女性「シルバーで」
私 「60歳以上ですね、1000円です」
女性「顔みれば言わんでもわかるわな」
私 「あ、いえ。自己申告でおっしゃってくださいね。若く見える方が多いのでわかりませんから」

この会話、私が皮肉を言っているということではありません。

年齢割引というのは、だいたい年齢証明提示で割り引くのが普通です。でも、シネマ5はシニア割引は自己申告だけでもOKということにしています。でも無言のまま顔を見て割り引くことはありません。確かにどう見てもこのおばあちゃん80歳代だなぁと思われる方には「60歳以上ですか」とこちらが聞いてから割引することもありますが、とりあえず一言は、年齢か「シニアです」と言っていただくことで割引をしています。
そんな中、必ず「見ればわかるでしょ!」とちょっと不機嫌気味におっしゃる方がいます。お金が絡むと年寄りに見ろ!と言われているようで(笑)、なんだか違和感を感じます。いつもは多くの女性がお世辞でもいいから年齢より若く見られたいと思っているはずですから。現に、おしゃれで一体何歳だか全く検討のつかない若く見える人が沢山います。

それでも、毎日繰り返されるこの会話。

一方では、60歳以上だと思うけれど一般料金で見る方もいます。それはいつまでも若くあろうとしているポリシーの現れでもあり、顔を見ただけでこちらが勝手に割り引いて、叱られたこともあるのです。

なのに、多くの人が「顔でわかるわな」といわれます。
なぜ?「わかってるでしょ」あなた察しなさいよ、という態度になる‥‥のでしょうか。

この目の前の相手との会話をスルーして、こちらにだけ“察しなさいよ”という態度は、図々しくあつかましい気もします。
そして、あつかましい‥‥これを女性が振りかざすようになると、俗にいう“おばさん”になります(笑)。

えー、おばさんの定義には色々な意見•見解があると思うのですが、どうして女性は歳をとると(ここでいう)おばさんになってしまう人とそうでない人が出来上がるのでしょうか?

先日、カモシカ書店に行って、店主の岩尾さんとふとそんな話になりました。どうして、いつから女性はおばさんになってしまうのか、あんなに可愛らしく可憐な人たちがなぜ‥‥と岩尾さんは遠い目をしていました。

答は出ないまま、ぼんやりとお茶をしてカモシカ書店を出た私は、ふと、映画『アドバンスト•スタイル』に思考がつながりました。この映画の中にヒントが隠れています。老いも若きも、女性ならこのドキュメンタリー映画を見るべきでしょう。

田舎からニューヨークに出てきた青年アリ•セス•コーエンは、マンハッタンの街角で素敵なファッションの60歳位以上の女性たちに声をかけ、写真を撮らせてもらい、それを自身が立ち上げたブログ「advanced style」にアップしました。そうしたらたちまち人気サイトになりオシャレおばあちゃんたちの写真集が発売され、写真展が世界を巡回するフィーバーぶりとなりました(東京でも開催されました)。
そして、ついにこのドキュメンタリー映画が誕生したのです。今回の映画ではおしゃれなおばあちゃんたち7人に焦点をあて、彼女たちが人生哲学やこだわりについて語っています。年齢を否定するのではなく、今の年齢の自分が一番素敵に見えるファッションを身にまとい、今をどれだけ素敵に楽しく過ごすか、そのポジティブ思考が毎日を色鮮やかに彩っています。

そう、、、思い返してみれば「顔を見ただけでわかるわな」と言っているおばさんたちは、どこか自分自身を認めてあげていないのかもしれない。年齢を受け入れてもっと楽しく!と思いたいのに思えないで毎日を過ごしているのかもしれない。

おばさんは、おばさんらしく演じることで何かから自分を守り、めんどくさいことから逃げる防衛策として、聞きたいことだけを聞くようになるのかもしれません。
でも、逃げれば逃げるほど自分が生きたかった人生から遠ざかる。。。

20代、30代女子も歳をとりますよ。どんな歳を重ねて、どんな風になりたいですか。

まずは、映画を見ましょう。
見て、シネマ5を出たところで、自分が踏み出す一歩はどっちの方向なのか感じてください。うれしいことに、この『アドバンスト•スタイル』は毎朝9:40から上映です。見終わってもまだ午前中。午前中に一歩を踏み出すのは、なんにしても縁起がいい!
朝からおしゃれして映画見て、カモシカ書店でお茶をしながら、自分の人生スタイルに想いを馳せて見てください。おばあちゃんへの旅はどんな計画にしますか。

私も人のことは言ってられない、もうすっかり“おばさん”です。でも、今日からおばあちゃん修行の旅です。私らしいおばあちゃんをめざして!

ちなみに、いくら自己申告でシニア割引をすると言っても、あまりに若く見える方にはたまに証明書の提示をいただくこともありますよ(笑)。

 

『アドバンスト•スタイル そのファッションが人生』
監督|リナ・ブライオブライト
出演|ジョイス・カルパティ、リン・デル・コーエン、イロナ・ロイス・スミスキン、デブラ・ラポポート、ジポラ・サラモン、ジャッキー・タジャー・ムルドック、ゼルダ・カプラン、アリ・セス・コーエン
配給|アルバトロス・フィルム
2014年/アメリカ/72分
http://advancedstyle-movie.com

【上映期間】
2015.8.8(土) – 8.21(金)

【上映時間】
毎朝9:40〜11:00(含・予告編8分)

【会場】
シネマ5
大分市府内町2丁目4-8
TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536
オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp

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