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映画の一刻 ~日常とシネマの旅~ 第十五便「消えた声が、その名を呼ぶ」 2016.02.13sat - 2016.02.26fri by シネマ5

大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。
一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。
個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。
そして何より空間が素晴らしい。
 
そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。
どうぞ、お楽しみください!
 
大西明美さんへのインタビュー記事はこちら。 http://yadorigi.jp/magazine/70
 
 
 
 
 
お久しぶりです。
 
今年は出来るだけ、日常から離れて、遠くまで旅したいと思います。映画でね。
一緒に、よろしくお願いします。
 
2016年、最初の「映画の一刻(ひととき)」はトルコの砂漠からアメリカまで、結果的には地球半周の過酷な旅をしてでも希望を目指し、探し出したい、執念の父親の物語。
 
 
『消えた声が、その名を呼ぶ』
 
 
時代は100年前の1915年。
オスマン帝国(オスマン•トルコ)がトルコ民族主義を色濃くする中、少数派のアルメニア人は弾圧を受け始めていました。
 
主人公ナザレットもアルメニア人ですが、政府に反発することなく鍛治職人で生計をたて、ひっそりと妻と双子の娘たちと暮らしていました。
ある夜、トルコ軍が突然やってきてナザレットは家族と引き離されることとなります。砂漠の真ん中で過酷な労働を強いられ、最後は首を切られて多くのアルメニア人が虐殺されてゆきます。
そして、ナザレットの首にも大きなナイフが突き刺さる。
 
 
 
気がつくと仲間の死体の中に、命をとりとめたナザレットは埋れていました。
ナザレットは命をとりとめたけれど、声を失って。
 
混乱の中、生き延びたナザレットは、自分の町が崩壊し、ほとんどの人々が虐殺されたことを知ります。もちろん、妻と娘たちも例外ではないはず。
アルメニア人ということで命の危険は常につきまとう中で、ナザレットは悲しみに打ちひしがれ、生きる糧も見出せず、ただ日々を過ぎてゆくだけ。
そんなある日、鍛治職人をしていた頃の弟子に偶然出会います。
 
そして、そこで始めて娘たちが生きていることを知るのですが•••。
 
。。。。。
 
 
これは、歴史的事実「第一次世界大戦のアルメニア人大虐殺」を下敷きにしていますが、史実を描こうとしたものではなく、ある一人の男•父親が過酷な旅をしてまで前に進もうとする、そのひたむきな希望に向かってゆく心をみごとに描いています。どうしようもなく映画を見るものの胸を打ちます。
 
 
しかし、一方で歴史的に、少しえいがのストーリーから脱線して、、、
見終わって、私には残念なことがあります。それは、100年前から人が同じ過ちを何度も繰り返すことです。そして、悲しみに打ちひしがれながら生きなければならない人々を大勢生み出してしまうこと。また、憎しみも復讐も、作り出し増大させてしまうことが残念でなりません。
 
せめて、この『消えた声が、その名を呼ぶ』を見て欲しい。そして、遠い時代、遠い国の話だと思わないで、自分自身に引き寄せて感じて欲しい。
そこで、私たちはこの映画の隠れたもう一つの物語を、読みとることになるはずなのです。
 
 
ちなみに、この映画はトルコ人のファティ•アキン監督の作品です。そしてこのアルメニア人大虐殺は、未だに史実としての見解が議論され決着のついていないものです。だからアルメニア人がこの題材を描くならまだしも、トルコ人監督が取り組んだことに実は大きな意義があるのです。
 
 
 
そして、最後になんといっても、映画が面白い(ほんとは最初にめっちゃ大声で言いたい 笑)。
主演のタハール・ラヒムが、本当に素晴らしい♡。
彼はこれからもっと世界に出て行く俳優なので、この際、要チェックです。
 
 
トルコの灼熱の砂漠からレバノン、キューバ、フロリダ、そして…。
 
さあ、旅にでよう!

大西明美

『消えた声が、その名を呼ぶ』

監督|ファティ・アキン
出演|タハール・ラヒム、シモン・アブカリアン、マクラム・J・フーリ
配給|ビターズ・エンド
©Gordon Mühle/ bombero international.
2014年/ドイツ・フランス・イタリア・ロシア・カナダ・ピーランド・トルコ/138分

http://www.bitters.co.jp/kietakoe/

【上映期間】
2016.02.13(土) - 2016.02.26(金)
 
【上映時間】
2月13日(土)〜2月19日(金)の上映時間
昼12:35  夕5:40

2月20日(土)〜2月26日(金)の上映時間
夜8:15

 

【会場】

シネマ5

大分市府内町2丁目4-8

TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536

オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp