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男の背中「ベンツの回」

女性の活躍が目覚ましい昨今、草食系男子などの言葉も死語になり、男の肩身は狭くなっていく一方。

古き良き時代の男はいったい何処へ?

そんな時代でも性別に関わらず、「この男についていきたい!」と思わせてくれる背中を持つ、大分のリーダー像を映し出すためにスタートした本企画。


男の背中!


第1回は大分が誇る男の中の男。
「ベンツ」を徹底取材しました!

2013年、一人の男として35年の生涯を終えたが、他のサルとは明らかに別格の功績を残してきた「ベンツ」。
高崎山史上初めて2つの群れでNo.1、失踪事件を起こして大分市街地に出没、3週間も群れを留守にし、再び群れに戻れたことも全てが前代未聞で破天荒。
高崎山の歴史を次々と塗り替えていった男「ベンツ」に見るリーダー論や良きライバルであり、良き仲間だったサイジョウとの出会い。ベンツが退きC群の現αオス(No.1)であるゾロメの想いを語って頂きました。
※以下のコメントは高崎山自然動物園 楽猿案内担当班 藤田忠盛さんへの取材を下に構成しています。

9月にはポプラ社から「ベンツ」の書籍も出版されます。こちらも乞うご期待!

【ベンツのリーダー論】


初めてボスになったのは9歳だった。最年少でB群の9代目ボスになれた訳だが、これは運が良かっただけなんだ。
一番強くて女にモテるのがボスになると思われがちなんだが、実はそうじゃない。
いわゆる年功序列に近く、群れに長くいた順で順位が決まる。
つまり、俺より長くいたサルがいなくなって運良くB群のボスになれたんだ。
当時、C群第3位でライバル関係にあった「サイジョウ」とは幾度となく争いを繰り返していたものさ。
そして11歳の時、C群婦人会会長の「リズ」に誘惑されて一週間連続でB群を離れてしまったんだ。
元の群れに戻った時、若いオスたちから総攻撃され、さらに第4位「スコラ」から追われてB群を離脱せざるを得なかった。
当時、「女性問題で失脚したボス」として話題になったものさ。

身も心もボロボロの状態でC群に移った俺は下っ端からやり直した。

しかし群れの中心部には入れず、外側で身体を丸くして子ザルが横を通過しただけで泣きっ面になってたよ。
この時が一番辛かった。


そんな俺を一番最初に受け入れてくれたのが、B群のボス時代に何度もやりあった「サイジョウ」だった。

あいつが俺を傍に置いてくれたから周りのサルも少しずつ仲間として認めてくれたんだ。


「サイジョウ」は14,5年前に亡くなったんだが、最後まで良い仲間だったよ、、


あいつのお陰でC群の5位か6位になった頃には体格もかなり大きくなっていて、群れの中でも我が物顔で歩けるようになっていた。

俺が一番リーダーシップを発揮したのは2002年。
当時、No.2だった俺はA群が朝8時半から12時まで3時間半もサル寄せ場でエサを食べてたのが気に喰わなかったんだ。
C群は12時から14時半の2時間半。だから少しずつ山を下りる時間を早めていったんだ。
A群は約800頭の群れで一番勢力が強いとされていたが、俺は体格の良い男たちを後ろに引き連れ、幾度となくサル寄せ場で争いを繰り広げた。
自ら先頭に立ち、A群に向かっていくことで3位以下の男たちが信頼して、ついてきてくれたんだ。
人間の世界でもトップが動かなきゃ、下はついて来ないだろ?

そして2002年6月1日、ついにA群を追い払ったんだ。
俺の姿を見た瞬間、逃げ惑うA群のサルたちの姿を見せてやりたかったよ。
高崎山の歴史の中で12年前の2002年、A群を追い払った時のC群が一番勢力が強かったというくらいメンバーも揃っていたんだぜ。

時は経ち、2011年2月11日に俺はC群の9代目αオス(No.1)になり、高崎山史上初2つの群れでNo.1になった唯一のサルとして、再び脚光を浴びた。
だが、この時すでに32歳。人間に換算すると96歳だ。
そして35歳の時に群れから外れてしまい、園から約7km離れた大分市内で発見されて、人間に保護されたんだ。


C群の群れに戻れるか人間たちは心配してくれていたんだが、No.2(現C群10代目αオス)の「ゾロメ」がちゃんと毛づくろいをしてくれたし、山から下りる時も俺の横にくっついて守ってくれていたんだ。


当時、第3位だった「ハトムギ」が俺に噛み付いてきた時も「ゾロメ」が食い止めてくれたんだ。

高崎山史上、様々な偉業を残してこれたが、「サイジョウ」という仲間やA群と争った時に俺を信じてついてきてくれた部下、そして「ゾロメ」のお陰さ。

【ゾロメの気持ち】


いやぁ、「ベンツ」さんはまさに男の男。
昔の戦後の、昭和の厳しい親父みたいな。一家の大黒柱的な存在でした。
軟派な優しさではなく厳しさ持って接する優しさを持ってました。


「ベンツ」さんは、いわゆる武闘派で子ザルに対しても厳しく接していました。
自分がエサを食べてる所に子ザルが寄ってきても、5mくらいの高さの石垣から投げ飛ばしたり、お客さんに飛び蹴りしたり、自分にも他のサルにも人にも厳しいサルでしたよ。笑。でも、迷子の子ザルがいたり、外敵に対しては体を張って群れを守る頼りになる男でした。

そんな姿を見せて周りのサルたちに良い刺激を与えていたと思います。


2002年にA群を追い払った時も部下に命令する訳じゃなく、自ら行動で示すことで「俺たちもやろう!」という気を起こさせてくれました。


2013年12月16日を最後に姿を見なくなりましたが、「ベンツ」さんは最後まで「ベンツ」さんでした。

高崎山自然動物園


【営業時間】
8:30 - 17:00(最終入園時間16:30まで)
年中無休


【料金】
高校生以上   510円
小、中学生   250円
幼稚園児以下  無  料
※大分市内の小、中学生は無料です。


【モノレール(さるっこレール)料金】
往復  100円(片道のみでも100円)
※幼児無料


【オフィシャルサイト】
http://www.takasakiyama.jp