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カクシンハンじゃじゃ馬ならし大分公演特別連載『じゃじゃ馬たちは今夜もねむらせない』第三回

9月13日(土)  第三回「玖珠ここのえ、あるいは、ストラトフォード=アポン=エ           イヴォン」
 
 
 
第三回
「玖珠ここのえ、あるいは、ストラトフォード=アポン=エイヴォン」

 

 

シェイクスピアの生まれ故郷は、ストラトフォード=アポン=エイヴォンというイギリスの田舎町だ。英語でStratford-upon-Avonと書く。文字通り、エイヴォン川のほとりにある。

 

シェイクスピアの入門書には、ウォリックシャー州の美しい田園風景の中に佇む町。

みたいな解説が常套句として添えられている。

 

僕も七年前くらいに訪れたことがある。ロンドンからイモムシみたいな列車に揺られて二時間ほどで到着するその町は、のどかな風が吹く、控えめに言っても素敵な町だった。

 

今回、僕らが公演を行った玖珠ここのえの町でも、ストラトフォードと同じ風を感じた。

町の役場の皆さんに案内いただいた「栖鳳楼」から見下ろす眺めは、まさに田園風景という言葉がぴったりで、どこか懐かしいような気にさせてくれる。玖珠川が町を横断し、その川のほとりに人々が生活している。

 

大分県玖珠盆地の美しい田園風景の中に佇む町。

たくさんの鳥たちが優雅に羽ばたく、自然に囲まれた、控えめに言っても、素敵な町だ。

 

そんな玖珠での公演は、温かな拍手で迎えられた。僕たちのような東京から来た若造たちのシェイクスピア演劇、それもちょっと変わった作品を、多くの人たちが好意的に迎えてくれた。人口15,000人の町で300人弱の人が見てくれたのだから、全体の2パーセントが来てくれたことになる。会場の雰囲気は東京公演とは違った賑やかさがあった。親子連れからお年寄り、若いご婦人方。三世代にまたがる客席は温かみがあって、東京からやってきた僕たちも、安心してパフォーマンスに集中することができた。初めての上演としては上々といえるかもしれない。

 

夜は、地元の皆さんのおもてなしのおかげで、ビールの泡の中をご馳走が始終駆け回っていた。温泉が一日の汗を流し、心地よい寝食に導かれ、眠りはすぐに深い夢へと変わった。上演で疲れ切った俳優たちが寝静まった頃、星を眺めて、風を感じながら、デビッド・ボウイのFive Yearsを聞きながらうつらうつらするのが心地良かった。山々が夜の闇を深め、川の流れる音が眠りを誘う。 

 

東京で演劇するのとは違った手触り。

 

その手触りを温めながら、僕は、ふと演劇に取り憑かれた若者として、演劇の力というものについて考えを巡らせた。

 

たぶん僕は、まだ、演劇の持つ力がどんなものなのかを、本当の意味でまだ知らない。でも少なからず、演劇を通じて見知らぬ人と出会い、お客様を含めたこの劇に関わるひとりひとりが、演劇を通じて「何か」を共有したことで、生き生きとした「何か」でつながった気がした。

 

それは錯覚かもしれない。いや、間違いなく錯覚だ。けど、その錯覚は、人間が持ちうる錯覚の中でもかなり良質な錯覚なんじゃないかと僕には思えた。上等な錯覚。あるいは他者で溢れかえったこの世界において、必要不可欠な錯覚。そういう演劇の持つ根本的なあり方を僕はもっと理解すべきだし、正しく活用すべきだ。公演が終わった今、確かな手応えとともにそういう思いが溢れてくる。

美しい田園風景が正しくそこにあるように、演劇が正しくそこにある。そういうリアルな演劇を、都市とは違ったリアルで発見することができるんじゃないか、と考えている。

 

今、僕は、相も変わらず、渋谷のワイヤードカフェでジントニックを飲みながらこの原稿を書いている。ニールヤングのBGMが、渋谷の金曜日の若者たちの会話とセッションしている。そのセッションは田園風景とは違った心地よさで僕の身体をノックする。そのノックに合わせて、僕はまだ東横線に乗って自宅に帰ろうとしない。玖珠の公演に出演してくれたメンバーとカクシンハンを紹介しておきたいから。この連載のタイトルにある通り、じゃじゃ馬たちは今夜も眠らせてくれないみたいだ。

 

メンバーの紹介なんて滅多にしない。ちょっと気合が入る。第四回の連載でじっくりやろう。インタビュアーと司会は僕かなあ。

 

 

 

                      text カクシンハン主宰 木村龍之介

 

 

 

木村龍之介

1983年大分県生まれ、両親が玖珠郡出身で、兵庫県宝塚育ち。演出家。 
 
東京大学で文学を学びながら俳優、演出部として創作の一端を担う。2012年にカクシンハンを立ち上げ、自身の創作活動へ。古典を大胆に解釈し、多様な演劇の手法を取り入れた演出で現代と古典のクラッシュ(衝突)を生み、同時代のエンターテーメントとして戯曲に新たな息吹を吹き込む。

 

 

 

 

- カクシンハンPOCKET03『じゃじゃ馬ならし』大分(玖珠ここのえ)公演 -

※この公演は終了しました

 

【開催日】

2016.07.29 fri - 07.31 sun

 

 

【時間】

07.29 fri

13:00 - 15:00 「小・中・高生のための楽しい演劇教室」

20:00 -     「カクシンハンPOCKET03『じゃじゃ馬ならし』」

 

07.30 sat

13:00 - 15:00 「小・中・高生のための楽しい演劇教室」

17:00 -     「カクシンハンPOCKET03『じゃじゃ馬ならし』」

 

07.31 sun

13:00 -     「カクシンハンPOCKET03『じゃじゃ馬ならし』」

17:00 -     「カクシンハンPOCKET03『じゃじゃ馬ならし』」

 

 

【会場】

玖珠町立わらべの館

〒879-4403 大分県玖珠郡玖珠町大字森868-2

電話 0973-72-6012

大分自動車道 玖珠インターから車で5分(国道387号線)

JR豊後森駅から車で7分

国道210号線と国道387号線の交差点から車で10分

 

 

【料金】

前売り料金:大人2,500円/学生1,000円

発売開始:6月29日(水)

 

 

【チケットについて】

<前売りチケット販売店>

スガタ文具店、住本商店、大根屋書店、都久屋書店、日野書店

シャインホテルくす、食事処春日、九重のここのパン屋、カモシカ書店

 

<ネット販売>

https://www.quartet-online.net/ticket/kakushinhan

 

<電話予約・お問い合わせ>

0973-76-3755(カクシンハン公演春日事務局)

070-6634-2593(劇団制作)

 

 

【キャスト】

演 出:木村龍之介

出演者:真以美、穂高、岩崎MARK雄大、阿久津紘平、大津留彬弘(以上、カクシンハン)、杉本政志(劇団AUN)、神保良介

 

 

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