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映画の一刻 ~日常とシネマの旅~ 第七便「繕い裁つ人」 2015.4.4sat - 5.1fri by シネマ5

大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5

メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。

一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。

個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。

そして何より空間が素晴らしい。

そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。

第七便目は、「繕い裁つ人」

どうぞ、お楽しみください!

大西明美さんへのインタビュー記事はこちら。 http://yadorigi.jp/magazine/70

第七便「繕い裁つ人」

おしゃれってなんだ。
 
 
フランスのヌーヴェルヴァーグの騎手フランソワ・トリュフォー監督の映画祭がシネマ5bisにて上映されていた。(3月13日まで)
今回のこの上映でトリュフォーを見なおして思うことは、やっぱりおしゃれ。おしゃれすぎ。
どんなに値段の高いデザイナーの服を来てどんなに流行りのメイクをしている人よりも、やっぱりやっぱりトリュフォー作品を一本でも映画館に見に行こうとしている人の方が、私はおしゃれだと、15年前、いや20年前からずっと思い続けている。
 
だから今回、フランソワ・トリュフォー監督の映画祭を紹介しようと思っていたのですが、恐れ多くも私にトリュフォーを語れるはずもない。なのに、なぜこうして書いているかというと、『繕い裁つ人』を見たからだ。トリュフォーと『繕い裁つ人』を関係づけるなんて、ありえない!けれど私の中で妙につながってしまったのだ。
 
 
 
ある時、ファッションにすごく詳しい友人が、「どんな服(ブランド)を選びどんな小物を身につけ、どんなメイクをするかで、その人の主張・センス・思想を、意識している、していないに関係なく、その人を現している」と。
 
「安いからそれでいい、なんてことで洋服を選ぶのは、信じられない。」
と言われたことがある。
 
その言葉は、その時ユニクロと無印良品のみで上から下まで身を包んでいた私に向けられた言葉だったと同時に、彼女自身の思想でもあったと思う。
私は心の中で思った。「そうかもしれないけど、表面だけで決まるものでもないじゃない。
映画見たり本読んだりアート見たり、内面から湧き出るものもある。映画とファッションは繋がっているし、その映画を全然見ないなんて、それはどうかな?」と。そう思いつつ、服を着るというおしゃれに私はより臆病になった。
 
 
 
4月4日(土)からシネマ5bisで公開の『繕い裁つ人』は、中谷美紀主演。
神戸の丘の上にある小さな洋裁店の二代目・市江と、そこへ集まってくる先代が作った洋服を着続けている人々との物語。
 
市江の服に惚れ込んだ大手デパートのバイヤー藤井がブランド化の提案にやってくるが、市江にさっぱりその気はない。それでも藤井はあきらめずに市江の店に説得に通う。
そこで藤井はなぜ市江が頑固なまでに断り続けるのかが、毎日の何気ない常連客とのやり取りの中に少しずつ見えてくるのだった。そして、藤井との出会いが市江の心にもある揺れる思いを呼び起こしてゆく。
 
 
『繕い裁つ人』の前半にこんなセリフが出てくる。店にくる常連客が「おしゃれはしとかんとねー。着るものによって心の持ちようも変わるんだから」と、先代から聞いた話をする。
 
確かに!と、うなづいた私。
 
そうなんだよね。形から入るってよく言うけれど、着るものってその日の気分まで左右してしまうことがある。特に女子は。
そして、この『繕い裁つ人』はおしゃれに臆病な人たちを優しく拾い上げてくれるような感じがある。それは洋服の持つ力と映画の力。主人公 市江の先代の服とともに生きようとしているその想い「ひとつのことをやり続ける揺らがない心持ちが」がじわじわと心に響く。
それこそおしゃれな生き方。
 
「おしゃれは自分のためにするもの」そんなセリフも聞こえてくる。そうだ、洋服も映画も本も芸術も自分のため、その心の豊かさのため、その人生のため。
それがいずれ自分だけのものではなくなるほどにひろがっていく。おしゃれはただそれだけのこと。そんな風に腑に落ちたとき、私にとってのトリュフォーをはじめとする名作・傑作映画たちに対する私の気持ちと『繕い裁つ人』が何故だか(おしゃれという一点で)つながってしまったのだと思う。
 
 
とにかく『繕い裁つ人』を見にお越しください。大切な何かと出会えるかもしれません。南洋裁店でお待ちしています。
 
あ、じゃなくて、シネマ5bisでお待ちしています(笑)。
 
 
大西明美
 
 
 
 
 
 
 
 

【上映期間】
2015.4.04(土) - 5.01(金)

【上映時間】

2015.4.04(土) - 4.10(金)

10:00〜   14:15〜   18:20〜

4月11日(土)以降の上映時間は劇場にお問い合わせ下さい。

【会場】

シネマ5bis

大分市府内町3丁目7−7

TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536

オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp