ケンチク部「大分県立美術館OPAM編」

現在、開催されているおおいたトイレンナーレ2015の参加アーティスト、高山 明(PortB)・小野正嗣・林 立騎(Port観光リサーチセンター)によるプロジェクト「大分メディアコレジオ」の作品の1つとして発表された佐伯市出身の小野正嗣による芥川賞受賞後初の書き下ろし短編小説「再訪のとき」

皆さん、もう読みましたね?

小野正嗣の「再訪のとき」を受けて、新聞・テレビ・ラジオ・ウェブが様々な角度から作品を構築していきます。
Yadorigiではウェブ媒体として、「再訪のとき」をより楽しく拡げていこうと思います。

《 カモシカと青空「再訪のとき」》《 再訪のひと「ルーシー」》に続く、「大分メディアコレジオ」関連企画第3弾は「ケンチク部」。
ケンチク部ブチョーが大分県の建築を中心に楽しく紹介してくれる新企画です。

第1回目は「再訪のとき」で玲子が口にした新しくできた美術館。
OPAMについてです。(正確にはOPAMとは言ってないが)

可愛いイラストと実際に建物を観に行きたくなるウンチク満載です!
ただナニカ(イベント)をやってるから訪れるだけのハコじゃなく、建物自体の魅力をブチョーが伝えてくれます。
読み終わったあと、きっとアナタもOPAMに足を運びたくなる! はず、、

 

ケンチク部 第1回

 

はじめまして。ケンチク部のブチョーです。

ケンチク部では、大分県の建築を中心に紹介します。建築の紹介というよりも、建築の見方を紹介します。
“まち”は建築で出来ているので建築の見方がわかると、どんな“まち”でも楽しめます。
建築は楽しいぜ!ということを知ってもらいたいと、ブチョーは思っています。

第1回目は、大分県立美術館の見方をご紹介します。
通称名はOPAM(オーパム)と言うそうです。カワイイ名前です。

さて、建築を楽しむために、まず設計をした建築家をググっておきましょう。
建築の生みの親とも言える建築家を知り、その建築家の他の作品も見ておくとより幅が広がります。
もちろん、建築そのものを楽しむことが大切なので、あまり<名前>に振り回されてもいけないんですけどね。・・・どっちやねん、と。

ここの設計者は坂茂(ばんしげる)さん。

世界中で活躍する建築家です。フランスで美術館を設計したりしています。
被災地の為の仮設空間などボランティア活動にも積極的で、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を2014年に受賞しています。大分出身の世界的建築家 磯崎新さんの事務所にも在籍した事があるので師弟関係でもあり、大分とゆかりがある建築家と言えます。・・・後はウィキペディアで!!

さあ!
そんな坂さんが設計したOPAMを見てみましょう。

・・・っと、その前に、

OPAMの見方 その①「コンセプトを知ろう!」

建物を設計する時には、色んな事をたっっっっくさん考えます。その結果が、建物のカタチになるんですが、言葉としてもカタチになります。それをコンセプトと言います。
この建築は<都市に建つ美術館として県民に親しみやすく使いやすく在りたい>というのがコンセプトのようです。それがカタチとして現れています。

 

OPAMの見方 その②「外観をみてみよう!」

コンセプトを知って、まずは外観を見てみましょう。

1~2階の高さにわたるガラスの部分が印象的な外観です。
このガラスの部分、全て開いちゃうんです。・・・なぜ開けるのか?ここにコンセプトがあります。
美術館という建築は閉じがちな建築です。美術品を建築で守るためですが、その閉じたカタチが一般の方の足を遠のかせることにもなります。その為に開放的な空間が必要だと、坂さんは考えたんですね。

ここが開けられ開放的な空間となる事、外のような中のような空間である事、そういう空間が人を受け入れやすくします。いつも開いているわけでもないし、管理上で開けることは少ないかもしれません。それでもここが<開けられる>という事実が大切なんです。意識にそれがあるかどうか?それを見てほしいです。ちなみに、ガラス部分は水平に折れて開きます。こんな感じです。

ちなみにブチョーはこのガラス部分が全て開いた状態の事を「オーパムってるなあ!」と敬意を込めて呼びたいと思っています。
開けたくない、ではなく、開けようとする行動が大分県民の文化意識として問われます。

 

OPAMの見方 その③「構造をみてみよう!」

前述しましたが、美術館は閉じがちな建築です。
それは、世界の国宝となるような美術品を持ってくるとなると、建物の耐震性だとか、空調機能だとかを厳しく問われる事になるからです。

二つとない美術品に何かがあってはいけないのです。

つまり、美術館建築というのは堅固なカタチになりがちなのです。

そんな目線でOPAMを見てみると、この開放感はトンデモナイことだと見えてきます。
構造強度を高めながら、ものすごく自由な空間をつくっています。一階の展示空間には柱が無く、しかも壁が全部動いて自由に部屋を仕切る事が出来ます。このフリースペースは、展示ごとにカタチを変えます。建築が動く!そのワクワクはロボットアニメのそれにも似ている!・・・ような気もします。

写真の白い壁は全て動きます。つまり、2階の床は浮いちゃってるんです。

(種明かしとしては、上から吊ってます。)

 

OPAMの見方 その④「素材を見てみよう!」

この建築の特徴のもう一つは木材です。

上部の斜めの部材は木材です。
なぜあそこに木材を使うのだろう?
実はアレ、装飾的なお化粧デザインのため、、、ではないんです!

あの斜めの木材は構造的に強度を高める部材なんです。建築には構造美という考え方もあり、装飾は罪だ!なんて言われることもあります。
美術館としての構造強度の在り方を考えても、鉄やコンクリートに対して弱そうな木材を使うという挑戦!!

すごくないですか?!!

もちろん、凄さを見せつけたいわけではなく、意味があります。

現在、日本の木材(森林)は余っています。
戦後に植えられた木が使える時期にきていますが、あまり使われていません(その理由はまた別の機会に)。

木は日本の唯一の資源とも言えるのですが使われていません。その中で大分県は杉の生産量が全国第3位です。
大分の建築として木材を使う事は、これからの時代に意味がある事なのです。

きちんと考えられた建築には、その時代の姿が映し出されます。

 

・・・っと、、ついつい長くなってしまいました。
他にも色んな見方がありますが、今日のところはコノヘンで。

このケンチク部では、建築が好きな人が増えてほしいなーと、真面目に、本気に、ガチで考えています。なので、部員になりたい方は連絡ください。
現在のところ、部員数は私ブチョーだけです。。。今後ともよろしくお願いします。

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