1945年に開店した大分市を代表する本屋の晃星堂、フォーラスのジュンク堂、セントポルタの明屋書店、トキハに入るリブロ、来年春に開業の駅ビルに入る予定の紀伊国屋書店と数多くの本屋が混在する大分市中心地。
この本屋激戦区に5月、新しい本屋が誕生しました。
大分駅からセントポルタ中央町を抜けるとすぐにこんな看板が。
中に入り螺旋状の階段を上がると、、
古本を中心にしながら新刊も取り扱い、美味しいコーヒーや6月の新しょうがを使ったジンジャーミルク、身体に優しい手作りスイーツまで楽しめちゃうカモシカ書店に辿り着きます。
今回は店主の岩尾晋作さんに本の魅力やカモシカ書店を始めようと思ったキッカケなど面白い話を聞いてきました!
また岩尾さんには7月からWeb Magazine Yadorigi内で本に関するコラムも書いて頂く予定なので、こちらも乞うご期待!
第一話は7月19日の予定です。
以下、インタビュー
Yadorigi編集長 一尾(以下、一尾):凄くありきたりな質問からなんですけど、、
カモシカ書店店主 岩尾晋作(以下、岩尾):ありきたりなのからお願いします。
一尾:初めて買った本は?
岩尾:人生でですか?
一尾:人生で。
岩尾:えぇー、覚えてるのは、、小学1年性でじゃないですかね、めばえとか。笑
一尾:笑。なるほどね。文庫本では?
岩尾:ドラゴンボール?そんなんじゃダメですか??笑
一尾:一緒だね。笑
岩尾:一緒ですよ、そりゃ。笑
一尾:小説だと?
岩尾:十五少年漂流記ですね。
一尾:十五少年漂流記を読むキッカケは?
岩尾:昔からサバイバルに憧れて、、
一尾:遊ぶ時はサバイバルな感じの方が好きだった?本を読んでその空想に耽るのが好きだった?
岩尾:行動するまでが読書だと思ってるので、「読んだらやろうよ。」みたいなのがあります。「読んだら行こうよ。」みたいな。
一尾:実際に舞台となった島や場所に足を運んだり?
岩尾:まぁ全部は無理ですけど、なるべく行きたいなと思っていて。
一尾:十五少年漂流記とはどこで出会ったんですか?
岩尾:晃星堂さんで夏休みっぽいものを探してた時に。
一尾:夏休みの感想文用に、とか?
岩尾:感想文とか、たしか夏のフェアみたいなのでドーンって並ぶんですよ。読書してる時間は好きだったので、なんかこう遠くに行った気持ちになれるものを昔から求めてたような気がします。
一尾:じゃあ割と読む本はそういったジャンルのものが多い?
岩尾:んー、なんだろう。内側に向かうものも多いですけど、あんまり偏りないけど何が好きかって言うと紀行文とかルポルタージュとかが好きですね。
一尾:買う本は新刊で買いますか?それとも古本?
岩尾:買う本は、大分に去年帰ってきてからほとんどAmazonですね。正直。笑
一尾:じゃあ新刊ばかりなんですね。笑。大分に帰ってくる前はどこに?
岩尾:東京に。
一尾:買うのは新刊ばかりなのに古本屋さんを始めたのはなぜ?
岩尾:古本屋さんなんですけど、新刊も若干扱っていて今後増やしたいと思ってるし、両方(新刊も古本も)扱う本屋が大分にないので。古本だけを扱いたい訳じゃないんですけど、古本の方が仕入れやすいんですね。だから古本主力、補助に新刊っていう感じで考えてます。新刊も出来る事なら増やしたいんですけど、業界の商慣習があってなかなか思うようには、、
一尾:自分が好きな本を揃えようと思っても?
岩尾:なかなか難しいですね。
一尾:揃えようと思った時は出版社に頼むんですか?
岩尾:直接、取引するのがほとんどですね。
一尾:その場合は買い取りになる?
岩尾:うん、なります。その割に掛け率が、、だから古本の方が全然、利益を考えるとやりやすい。
一尾:へぇー。でも新刊と古本の両方を扱う事で大手本屋や古本屋との差別化を計ってるんですね。基本的に置いてある本は岩尾君が好きな本?
岩尾:最初は手持ちの本でやってたので、そうなんですけど。今後は何か最近、次のビジョンが見えてきて、自分の主観から離れていってもいいかなって、なんとなく。ある程度ね。置きたくないものは置かないけど。笑
一尾:笑
岩尾:それだけでいいと思うんですよ。何を置かないかだけ把握しとけば、あとは置いてみてもいいんじゃないかなって。
一尾:古本の魅力は?
岩尾:それはもう一点ものですよ。一期一会。アンティークです。見つけて興味を引かれたら、とりあえず買っとかないともう会わないかもしれないし。
一尾:けどもうネットで買うのが主流になってきてネットで探せないものがないくらいになってるけど?
岩尾:ネットで買うよりはうち(カモシカ書店)で買う方が全然安いし、、でも欲しいのがあったらネットで買います、私も。笑
一尾:笑。でもなんに関してもそうだけど偶然見つけた時って、何か嬉しいよね。「あ、こんなとこに!」みたいな。
岩尾:そう。で、買った場所って結構、覚えてるもので。これ、あそこにあったなって。いくらだったとかは忘れてもどこで買ったかは私は覚えてて。それもセットで買い物かな、と思うので。「こういうお店のこの辺にあったな。」みたいなのも含めて体験して楽しんでもらえるようにしたいなって。
一尾:本のレイアウト見てると、カザノヴァ回想録の横に何でこの本が!?みたいなのがあるけど、それは狙い?
岩尾:それはね、狙ってるのと整頓できてないところが、、笑
一尾:笑。1ヶ月に本ってどのくらい読みますか?
岩尾:んーと、最近は、、
一尾:仕事を始めて少なくなったとは思うけど。
岩尾:めちゃめちゃ減りましたね。つまみ読みは増えるけど最初から最後まで読めって言われると、ちょっとしんどいですね。今は。笑
一尾:笑
岩尾:読んでる時は標語が自分の中にあって「2(to) weeks 4(for) books」要するに2週間で4冊は読もうっていう最低限の目標と2週間を本の為に過ごそう、みたいな意味でダジャレ的にやってたんですけど。
一尾:読書家の間でムーブメントがあった訳じゃなく、岩尾君の中だけで?
岩尾:私の中で。笑。まぁ本屋に勤めてたので。その時は「2(to) weeks 4(for) books」でやってたけど、それなんか今やってもいいかも。久々に。すっかり忘れてた!
一尾:うん、響きもいいし。「No Music No Life」みたいな。
岩尾:そうそうそう。
一尾:でも2週間で4冊って結構ハードル高いね。
岩尾:以外と簡単。
一尾:ほんと?笑。本当に面白い作品だったら寝る暇も惜しんで1冊読んでしまうけど、、
岩尾:本屋時代は仕事終わってから22時まで休憩室に居て新宿三越の。修行を課してました、自分に。笑
一尾:笑。本屋さんで働くと休憩中は自由に読めるの?
岩尾:読めます。
一尾:本好きにはたまらない環境だね!
岩尾:日本最大級の図書館があるようなものだったので。ジュンク堂が6、7、8階と。休憩室は地下だったんですけど「何でも持ってっていいから。」って。もう最高の環境でしたね!
一尾:給料は貰えるし、好きな本はいくらでも読めるし。
岩尾:そうそうそう。笑。今は無き、、
一尾:あ、もう無くなった、、
岩尾:ビックロ(ビックカメラとユニクロの共同店舗)になってしまいました、、で私が一番仕事してた部屋がビックロのトイレになってました。笑
一尾:笑。
岩尾:ここトイレにすんのかよ!って。ちょっと寂しくてショックでした。笑
一尾:切ないね。でもトイレで本読んでる人いるかも。笑
岩尾:あぁ、いるかも。笑
一尾:カモシカ書店はどんなお客さんが来るんですか?
岩尾:老若男女ですね。綺麗に別れてるかもしれません。若干、女性の方が多いかな。でもお爺ちゃんとかも来てくださいます。
一尾:お爺ちゃんとかはどこでお店のこと知ったのかな?
岩尾:新聞に取り上げてもらったことがあるので。昔の人が思う古本屋のDNAも引き継いでいこうと思ってますし。全く新しい本屋、、まぁ新しいと言っても先駆者でもなんでもなく、他にいくらでもやってる人は都会にはいるんですけど、、
一尾:この通り(セントポルタ)は本屋の激戦区ですよね。
岩尾:ジュンク堂、晃星堂、明屋書店、トキハにはリブロができて、、
一尾:リブロはもうできた?
岩尾:いや、9月か10月ですかね、、駅ビルは紀伊国屋で。私はいいなって思いますけど。書物文化を盛り上げていくにはいいんじゃないですか。
一尾:デジタル化が進む中でなぜこんなに本屋さんができるんだろうね?
岩尾:ジャズの時代が終わるって言われてた時に、あらゆる場所でジャズフェスやったり、雑誌でジャズ特集があったり、、
一尾:その流れと一緒?笑
岩尾:その流れですね。笑。惜しみと哀れみと、、だと思います。
一尾:岩尾君自身はデジタルで本を買ったりはしないの?
岩尾:いや、Kindle欲しいなって。
一尾:笑。そうなんだ。
岩尾:デジタル化、全然反対じゃないんです。でも旅に持っていく時にKindleを持って行くかというと、、まぁどっちでもいいっすね。笑
一尾:笑
岩尾:スマホで芥川龍之介読んだりしますよ。どっちでもいいかな、、
一尾:紙の手触りにこだわりが。とかそういうのは?
岩尾:そういう主張はあります。捲る感じとか匂いとか。モノとしての重さとか所有の関係とかね。面倒くさい話をすると色々ありますけど。
一尾:その辺すごく興味あるけど長くなりそうだから。笑。ぜひコラムで書いてください!
岩尾:はい。まぁモノにはオーラがあるのでデジタルにそれがあるとは言えない。今後どうなるかはわかりませんが。
一尾:重さは結構重要な違いだね。Kindleだと何を読んでも一緒だけど。
岩尾:そう、それに水がかかると濡れるとか埃を被るとか、そういう可愛らしさっていうのはやっぱモノにしか無いと思います。
一尾:古本屋を始めようと思ったキッカケはなんだったの?
岩尾:ずっとやろうと思ってたからです。
一尾:いつ頃から?
岩尾:24歳の時です。
一尾:その頃に目標とする本屋に出会ったとか?
岩尾:東京中目黒のCOW BOOKSなんですけど。
一尾:目黒川沿いにある?
岩尾:そう。こんな商売を大分でやりたいなって。それがキッカケですかね。
一尾:ずっと本屋の仕事をしてたんですか?
岩尾:映画の仕事をしてました、24歳まで。
一尾:じゃあ、COW BOOKSに出会ってから本屋さんに転職したんですか?
岩尾:いや、しばらくいいなぁって思ってて。ずっと映画館とか映画の配給とか見てて、本の方が好きだなって。笑
一尾:笑。今、小説とか漫画とかの映画化が頻りにされてるけど、そういう映画のオリジナリティーの無さに対して思うところはある?
岩尾:映像にしか出来ないことはあるんですけど、映像を本に映すと薄っぺらい小冊子にしかならないっていうのが私の持論で。情報量として映像は少ない。音楽みたいな気分の高揚とか魔術的な効果は映像はあるんですけど、がっしり頭に入れようと思ったら、、
一尾:それは逆に情報量が多すぎてじゃなくて?で自分の中に入ってくるものが極一部しか無いとか。
岩尾:あぁ、そう言えるかもしれませんね。流れていってしまうというか抜けていってしまう。そのなんか抜ける感じが気持ちいいっていうのは音楽と似てるなって思うんですけど、自分の中に蓄積していく情報量だと映画ってペライなって思うんですね。優劣をつける訳じゃないですけど本の方が私はいいですね。
一尾:岩尾君の本に対する愛情を窺い知ることができました。今日はありがとうございました。7月からスタートするコラム、楽しみにしています!
岩尾:はい、ありがとうございました!
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