定額給付金のアベノジュウマンも入り、地元に少しでも還元しようと別府市が開催している『別府鬼割(おにわり)プラン』を活用して別府を代表する旅館の一つ「山荘 神和苑」に泊まってみました。
『別府鬼割プラン』とは?
不自由な生活が続く中、市民県民の皆様に少しでも日々の疲れをとっていただけるよう、別府市旅館ホテル組合連合会の万全の感染対策のもと、安心安全な別府温泉で心身を癒していただける湯ごもりエール企画のこと。
なんと「山荘 神和苑」に1人、16,200円で泊まれるのだ!
鬼割プランが始まって早々に電話予約したが。ん、ちょっと待てよ、、朝食のみ?夕食をつけると+6,600円。予約後にホームページで予約当日の料金プランを確認してみると3,000円ちょっとしか変わらない、、
鬼割はちょっと言い過ぎでは?
※個人の感想です。ハイシーズンに泊まればもっとお得感あるかな。
さて、疲弊した別府の観光業にはエールを贈りたいが、感じたことは正直に言わせてもらいます。
山荘 神和苑は総面積1万4000坪という広大な敷地に本館10室、別館9室、離れ11室、和モダンな宙(sora)20室の計50室のみの贅沢空間と神松殿(能楽堂)、日本庭園、美徳庵(茶室)と日本の風情を織り込み、「和」をとことん味わえるのが醍醐味だ。
入り口の門を車で抜け、坂道を上がると重厚な石造りのエントランスと提灯が姿を現す。
九州内だが県外ナンバーが目立つ。
中に入ると佐藤好昭氏の湯の町を描いた壮大なスケールの作品が迎えてくれた。
検温と消毒を済ませ、ラウンジとバーが一体となったVERDEでウェルカムドリンクの台湾茶とシフォンケーキをいただきながらスムーズにチェックイン。
レストランや大浴場への導線を説明しながら本館の部屋へ案内してくれた。
苑内でのマスク着用のお願いなどは特にしていないらしい。2週間以内の県外へ移動歴も特に聞かれなかったので感染症対策としてはどうかと思うが、感染者を多く出している地域から来たお客さんにとってはノンストレスで時間を過ごせることだろう。
部屋は率直な感想を言えば、別府では一流旅館とされていても鬼割プラン用に用意されている部屋はこんなもんか、という感じだった。
玄関は扉を開け、靴を脱いで上がってしまわないと閉められないくらい狭い。
半露天のお風呂に必要最低限なこじんまりとしたベッドルームと和室。半露天の檜は黒ずんでいて入る気しないし、和室の畳は擦れてかなり経年劣化が激しい。バルコニーからは能楽堂が見下ろせたが、設置しているラタンの椅子に座ると磨りガラスで見えないし、広くもないのでゆっくり寛ぐことはできない。
残念すぎる、、
飲み物は充実。
お水にお茶、カプセル式のコーヒー、台湾茶・遊山茶訪のセット、そして、つぶらなカボス。わかってるじゃないか。
早速、大浴場へ。
人が目をやる大浴場へのサインの横にむき出しの室外機?が。こういった徹底されていない感じは所々に見られる。
さらに安っぽいマテリアルが散見される度に惜しい気持ちになる。
温泉は男女が日替わりで入れ替わる。加水や加温はしておらず、源泉かけ流し。室内には熱め、温め、水風呂の3種類あり、外には開放的な露天風呂。奥の方まで進んでいくと建設中のエレベーターが丸見えで工事中のおじさんと目が合った!(気がした。)湯船には屋根がなく雨の日に泊まったお客さんはさぞかし残念だろう。
泉質は弱アルカリ性の塩化物泉。さらっとした肌触りで、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性や動脈硬化などに効くそうだ。湯に浸かっていると隣にある山地獄から孔雀やヤギの鳴き声が。自分は今、どこにいるのか?と不思議な気持ちが味わえる。
お風呂から出た後は庭園を一周。
本当に素晴らしい、の一言に尽きる。植木の手入れこそお座なりな部分はあるがバランスがよく、日本の良さを再認識させられる。茶室はスタッフに自慢はされるものの開放はしておらず、希望する宿泊者には茶室でお抹茶を提供するなどすればさらに満足度は増すだろう。
お次は敷地の上の方に行ってみる。
スパやフィットネスジム、屋内プールがあり、天候に左右されず楽しめる。プールからの景色は最高。最上部には温泉神社なるものが。お祈りして温泉に入ったほうが良かったかな?
そして、いよいよ夕食。
楓(鉄板焼き)と結(和懐石)が選べたが、食通の友人に肉が油っぽいという話を聞いて朝食も和食にも関わらず、和懐石を選んでしまった。参考にならず、すみません。。
感染症対策のため、一の膳、二の膳に分けて料理が運ばれてくる。
まずは一の善。
季節の先付三種と海鼠腸(このわた)の茶碗蒸し。味付けは上品だが素材の味が噛めば噛むほど出てくる。茶碗蒸しがとても美味しかったが内臓系の独特なクセが苦手な人にはキツイかも?
二の膳。
関アジと鯛のお刺身に豊後牛のたたき、姫島産車海老の大葉揚げと大分の贅沢食材を味わえます!極め付けはここで急な気仙沼産のフカヒレスープ。大分の食材で統一しないんかーい!関アジは歯応えはそこそこだが厚みがあり、車海老もサクッと揚って大葉の香りもいい。ただ豊後牛は少し臭みがあり、添えられたミョウガなどの香味野菜とオニオンジュレの爽やかさでごまかしてる感があった。
シメは合鴨農法米のミルキークイーンにお味噌汁とぬか漬け盛り合わせ。
お米は少し柔らかめに炊かれていたが甘味があり、程よく浸かったぬか漬けと相性抜群。おかわり自由で最大6杯食べた強者もいるらしい。しかも女性だったとか。
最後に季節の果物をいただいてご馳走様でした。結果、和懐石にして良かったかな。
夜の庭園を散歩して再び大浴場へ。
定期的にお湯をかき混ぜてないのか表面激アツで火傷しそうになりました。笑。でも汗をかきながらお湯をかき混ぜて、満点の星空の下、入った温泉は至福のひととき。
バーで飲み直そうと思ったら先客が。カウンター席は少なく、こういう時期なので諦めた。バーの目の前にはライトアップされた能楽堂。先客がいなければぜひ、ゆらゆらと揺れる松明の炎を眺めながら大分の地酒を味わってください。
シモンズ社製のベッドでぐっすり寝て、翌朝、三度目の大浴場!
日が変わったのでもう1つのお風呂へ。露天風呂は2つあったが壁と木々に囲まれて圧迫感がある。室内風呂も初日に入った方と比べると狭い印象だ。
朝食へ。
焼き魚に牛肉のしぐれ煮、湯豆腐など少しずついろんなもの食べられて女性には嬉しいメニューだ。かぼす入り蜂蜜とミルクを自分でかき混ぜて作るヨーグルトも遊び心がある。
結果的には大満足の旅行になったのだが、その大きな要因を1つ話さなければならないだろう。
実はこの日、客が10組もおらず、苑内で会った客は庭園とレストランでの3組のみ。大浴場も3回入って3回とも貸切状態だったのだ。
今日から迷走中のGoToトラベルキャンペーンも始まった。テレビ朝日の朝の番組ではGoToトラブルなんて出演者全員で笑いながら話していたが、、まぁ政治家が献金や利権目的にやることだ仕方ない。その政治家を選んでいるのも国民だ。お肉券・お魚券もGoToイートと姿を変えスタートしようとしている。本気で経済再生する気があるなら減税すればいい。本気で新型コロナの感染拡大を予防する気があれば、休業補償すればいい。ただし残すべきは残し、淘汰されるべきは淘汰させる。
中国や韓国からの観光客相手に甘い蜜を吸ってきた人たちを利益が半減したからといって税金で維持させたところで、また政治的な問題や新たな感染症が必ず出てくる。その度に税金を投入されたらたまったものじゃない。ハイリスク、ハイリターンなビジネスを自ら選択したにすぎないのだから。
それから東京で感染拡大が広まってきているのに、GoToトラベルキャンペーンが始まるからと早々に予約を入れ、東京が対象から除外されたらキャンセル料補償しろっていう人、なぜそうなることを想像できない?
新型コロナウイルス接触確認アプリの「COCOA」は相変わらず全く広まってないのになぜCOCOAのインストールをGoToトラベルキャンペーンの対象条件に入れない?
国でしないなら自治体レベルでも大分の観光業界レベルでもいい。スタッフと宿泊客にはCOCOAのインストールか大阪のように独自に開発した感染追跡システムへの登録を義務化した方がいいと思う。電車・バス・タクシーも観光客専用車両を準備すればいい。思考停止した人たちは政府がー、アベガーと叫ぶだけ。旅行する側も受け入れる側ももっと想像しよう、考えよう。何もせずに鬼割プランで県内旅行者も増えているところにGoToトラベルで感染の多い地域からの観光客も増えれば、80日以上感染者を出していない大分でも感染者が出るのは時間の問題だろう。
知事や市長も観光地アピールする割にはこういう肝心な時にだんまりを決め込む。旅行し辛い今だからこそ大きなチャンスだと思うか、何もせずに感染者が出るのをただ傍観するか。非常時にこそリーダーの質が問われる。
話が若干逸れたがそういったことも含めて、宿泊客が少なかったことは本当にストレスフリーであったし、たとえ高い部屋に泊まったとしても体感できない非常に贅沢な時間を過ごせました。まぁこれを抜きに考えると鬼割プランの部屋と料理で満足できるのは20代前半までかな。余裕がある方はぜひプール付きの離れでコロナとは無縁の隔離リゾート気分を味わってみては?
県内旅行される方は充分、お気をつけて。