8月1日に誕生したANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパに泊ってみました。
開業直後ということでサービスが行き届かないことは多少覚悟していたが、まさかチェックインから1時間以上待たされることになるとは、、
チェックインは15時から可能なはず。着いたのは16時過ぎ。「お部屋の準備が、、」とロビーでお茶を出され、10分ほど待たされる。まだ時間がかかるということで館内を案内してもらう。
館内には大分県内外に関わらず、素晴らしい竹細工作品が程よく散りばめられている。
特にコンシェルジュの頭上高くに飾られていた”羽衣”は美しかった。
まずはオーディオ&ブックラウンジ、アクア。
なんとここにはJBLを代表するスピーカー、パラゴンが!
両脇にはMcintoshの真空管アンプ。
オーディオファンなら一度は生で音を聞いてみたいと思ってる人も多いだろう。
潮騒の宿 晴海の喫煙(オーディオ)ルームが今後どうなるかはわからないが、アクアが別府でお気に入りの場所BEST3に入ることは間違いない。
本はファッション、アート、宇宙、歴史に関するものが並んではいたが哲学は感じられない。ただそれっぽいものを置いてる感じが漏れ伝わってくる。
こういった特別な空間こそ、カモシカ書店の岩尾晋作にアレンジしてもらいたいものだ。
ここを抜けると別府の街を一望できるインフィニティプール。
それからお風呂、スパと丁寧な説明を受ける。
しかしこちらが2、3質問するとその度に「確認してきます。」とそこでも待たされることになり、もう聞くことを諦めた。
ようやく部屋の準備が出来たということで、期待感高まる。
部屋に入っていくとそこには驚きの光景が!
窓の外に広がる緑が眩しいほどに輝く美しい山々。
えーっと、、予約したの海の見える部屋でしたよね??
ここからまた「すぐにお部屋をご用意します。」と待たされることに。。
どうした?インターコンチ!仮にも別府では最高級に位置付けされるホテルだぞ?想像を超える真のラグジュアリーは?お前はこんなものなのか??
そこでトドメの一撃。
「昨日、VIPを迎えてバタバタしておりましたので、、」
あぁそうか、私たちはVIPじゃないもんね。待たされてもしょうがないよね。
そう言えばホームページにも
「クラブインターコンチネンタルルーム、及びスイートルームをご利用のお客様だけに提供される、ワンランク上のエクスクルーシブでパーソナルなおもてなし、それがクラブインターコンチネンタルです。リゾートステイを完璧なものにするための、細部への徹底した気配り、個々のお客様のご要望にお応えするために配置されるスタッフなど、ここでしか味わえない数々のサービスがラグジュアリーリゾート体験をさらに忘れがたいものにしてくれるでしょう。」と書いてある。
差別化は必要だよね!
クラブインターコンチネンタルでなくとも十分に忘れがたいものにはなりましたけど。。
海の見える部屋に案内されたのはチェックインから1時間以上経ってのことだった。
せっかくの景色もテンションガタ落ち。
こんな時は美味しいものを食べるしかない!!
大分の何もしなくても美味しい食材たちをどう料理してくれるのか?
期待と不安が入り混じるなか、いざレストランへ!
「エレメンツ」「アトリエ」「バー」という3つのレストラン&バーで構成された4階。
メイン料理を選び、サイドディッシュとスイーツをビュッフェスタイルでいただける「エレメンツ」へ。
メインはお肉、お魚、鴨南蛮そば、天ぷらの中から。
一流ホテルの琉球丼もどんなものか興味をそそられたが、大分県産ビーフサーロイン 150g +¥2,000と本日のお魚(鯛)をいただくことに。
大分県産ビーフ?”豊後牛”でも大分県が猛プッシュしている”おおいた和牛”でもなく、和牛とは名乗れない雑種牛らしい。
ソースは香辛料系、サルサ(レモン・パプリカ)系2種に赤ワインソースから1種類選べる。
ワインリストのセレクトは一通り揃っている。が広く浅くといった印象。
メインと泡のオーダーを済ませ、ビュッフェへ。
大分の海の幸♪山の幸♪
あれ??並べられてあるのはパン、サラダ、ハム、チーズ、エビマヨ、きのこの白和え、、
大分の美味しいものたちは何処へ。
期待はずれの食事も早々に済ませ、インフィニティプールへ。
水温は夜には少し冷たく感じたが最高に気持ちいい。
そして眼下に広がる銀河のような夜景。
インターコンチに来て初めて味わう贅沢なひととき。
ひとしきり泳いだあとお風呂へ。
日替わりで男湯と女湯が入れ替わる。
内湯、寝て浸かれるお風呂、サウナ、水風呂、外には2人で入るくらいの小さな露天風呂が棚田のように並んている。まさに棚湯。
客室から見えないようにというのはわかるが、笠が幾重にも連なり露天でありながら閉塞感を感じてしまうのは残念。しかもお風呂に浸かってしまうと草木が邪魔で夜景が半分も見えなくなる。
翌日、もう一方のお風呂もいただいたがこちらの方が良かったとだけ言っておこう。
1時間 ¥10,000(宿泊客は¥5,000)という貸切家族湯も見せていただいたが言葉を選ばずに表現するなら高級ラブホ。まぁこれはこれで需要あるか、、あるのか?!
チェックアウトまでもまだ時間があったのでスパへ。
ラグジュアリーな時間を期待させる廊下を抜けてカウンセリング。
4種類のオイルから自分好みの香りを選んで別室へ。
疲れを癒すためタイ古式を選択したので、いつの間にか眠りにつくような〜極上なひととき〜ではなく、超パワフルでゴリっゴリにほぐされました。
インバウンド需要に力を入れている大分県。
インバウンドニュースサイト訪日ラボによると2018年の大分県への外国人訪問率4.21%、訪問者数1,313,177人でともに全国第13位。
しかし、外国人1人1回あたり旅行消費金額は16,532円であり、全国第44位にまで落ち込む。16,532円て、、え?修学旅行の方ですか??
大分県に来ている訪日外国人の割合は韓国が62.70%。
次に多いのが香港、中国、台湾だが11〜13%といずれも10%台。
これの意味するところは大きい。
ご覧のように試食だけ食い荒らして買わない、お土産物の扱いは雑、持って帰ってはいけない備品を持って帰る。という悲鳴めいた声がそのまま数字となって現れる結果だった。
大分県の課題も明らかだ。
ストレートに言えばお金を使わない外国人訪問数をいくら増やしたところで意味はない。
正直、観光・サービス業に携わらない人にとっては迷惑以外の何者でもない。
ただお金を落とさせるだけの魅力ある商品、サービスの提供が追いついていないとも言える。
費用対効果を考えた旅行消費額の多い国の来てもらいたい層へのピンポイントなプロモーションも必須である。
人数が多いからじゃなく、「お金を払うお客様だけに提供する、ワンランク上のエクスクルーシブでパーソナルなおもてなし」の精神はインターコンチから見習うべき点かもしれない。
今月にはラグビーワールドカップが開催される。
ここ大分でも1人当たりの旅行支出が多いオーストラリアやカナダの試合が組まれており、多くの観光客が見込まれる。そこでどれだけ心を掴めるか。
ラグビーワールドカップ以降のオーストラリアやカナダからの観光客数がそのまま今の大分の観光力と言えるだろう。
その一助になるかと期待したANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパだったが、成熟はまだ先のようだ。
誇るべき点はある。
時間の緩やかさと空間の贅沢さ。
スタッフにも緩やか時間が流れてるのは置いといて、広大な敷地に89室のみという贅沢な空間のため、レストラン以外ではほとんど他の客とすれ違うことがない。
そして夜景。
別府の断層を対象に建つ杉の井ホテルからの景色も美しいが、時間の緩やかさと空間の贅沢さがより一層の美しさを全身に染み渡らせてくれる。
あと、レストランで担当してくれたスタッフ。
彼はこちらの欲求に対する反射速度が的確で別府についてもよく勉強しており、どんな質問にも爽やかな笑顔で対応してくれた。聞くところによると前はリッツカールトン沖縄にいたらしい。
料理とサービスが洗練されていけば、別府に遊びに来る友人にも自信を持ってオススメできるホテルの一つになるだろう。
次は「アトリエ」で食べてみないとね。
11月に完成予定のガハマタワーと400億円を投じて2025年までにリニューアルする杉乃井ホテルも密かに楽しみにしているが。