『501号室の水と光』 平川渚

11月26日からフンドーキンマンション501号室で滞在制作を行っていた平川渚さんの作品『501号室の水と光』が明日5日から公開となる。これまでの彼女は「編み込む」という表現方法であったが、今回はフンドーキンマンションという特殊な環境と偶然起きた、あるハプニングを素材にした全く新しい作品制作となった。

いつものように「編み込む」作業をしていたある日。1階下の402号室に不思議な水溜りが。また怪奇現象か!?関係者の間で「タクシーの後ろに乗ってる女性が消えた時にできるアレじゃね?」と話題になっていたが、実は単なる水漏れ。501号室の水道を捻るとみるみるうちに402号室の至る所から水漏れが。。室内とは思えない。まるで土砂降り。その土砂降りの横には402号室を担当した遠藤一郎君の「泣くな」という文字が。その光景を見たことから平川さんの今回の新しい作品づくりが始まった。これまでとは全く違った表現手法に彼女自身も様々な思いと迷いが交錯していたようだ。しかし、これまで時間的制約によって終わりを迎えていた作品制作が、初めて完成という形で終息を迎えた。実に満足そうに。

今回のART PROJECT OITA 2013 のテーマである「循環」にぴったりの作品でありながら、本人は全く気付かずに制作していたようで、完成してから「これまさに循環やね」と笑いながら言った。 意識せずに「循環」を作り上げた彼女も凄いが、意識させずに「循環」を作らせてしまうフンドーキンマンションの持つ力もまた凄い。

これまでの平川渚さんの作品を見てきた方も、そうでない方もぜひ、新しい平川渚をご覧戴きたい。

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