大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5。
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。
一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。
個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。
そして何より空間が素晴らしい。
そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。
今回の旅は、『君の名前で僕を呼んで』
どうぞ、お楽しみください!
第二十一便『君の名前で僕を呼んで』
私が映画館の仕事をずっと続けてこれたのは、
こんなに心震わされる作品があったからです。
できの悪い私は、いっつも失敗ばかり。
叱れられ、落ち込み、自分を責めて追い詰める。
もう、ダメだ~、と簡単に諦め、今度こそは仕事をやめよう、
と覚悟を決めて仕事に出る。
そういう日に限って不思議なのだけれど、映画に救われる。
本当に不思議。
この20年間、ポツポツとそんな作品と出会う。
その時々で、状況も悩みも違うのだけれど、
出会う映画は、その時の私を立て直してくれる。
共通点は、思いっきり振り切れるほど心が震える!
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私は、この2年ぐらい低空飛行。
(あ、更年期ではないらしいのですが、いや、ちょっとあるか?)
心がカラカラ状態であることは、認識していたけれど
自分でもさすがにその原因が何かは突き止められなかった。
自分でありながら、自分がわからないことって、何歳になっても沢山ある。
で、もう限界か、、、と。
酒でも飲んで寝るか!とやさぐれ(笑)ますます干からびるばかり。
なかなかにしつこい喪失感(に似たもの?)。
そしたら、そしたら、映画の神様が見ていた!
この映画『君の名前で僕を呼んで』に出会わせてくれた。
こんなに心が震えるとは・・・思っていなかった。
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イタリアの避暑地、17歳のエリオは、大学教授の父の助手として夏休みだけやってきた24歳のアメリカ人学生オリヴァーと出会う。
眩しい光が降り注ぎ、
ある時は退屈で、ある時は知的な会話が交わされる食卓で、
穏やかに過ぎゆく夏の日。
その中で、エリオとオリヴァーは、少しずつお互いに惹かれあう。
誰にも悟られないように、、、
そして気づいていても気づかないふりで、、、
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スクリーンに登場する(主人公だけではない)全ての人々の気分が
見るものの心に流れ込んでくる。
なんと豊かな時間と空気が、流れる映画なんだろう。
全部受け入れてしまえば良いのだ!
全部。
そう映画は言っていた。
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今年のアカデミー賞で脚色賞(ジェームズ・アイボリー)を受賞した話題作。
名匠ジェームズ・アイボリーの脚色賞は本当に納得!
監督はルカ・グァダニーノ。前作「胸騒ぎのシチリア」でもその映像美は高く評価されているだけあって、今回は本当にどのシーンを切り取っても美しい。
でも、だから見たほうが良いという映画ではない。
そんなことで見る映画なら山ほどある。
立っていられなくなる程、心震えさせられる人だけでいい。
この映画に出会って欲しい。
それには、まず、見なければわからない。
いつものセリフだけど、映画館のスクリーンで見なければ!
『君の名前で僕を呼んで』
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステール・ガレル、ヴィクトワール・デュボワほか
(c)Frenesy, La Cinefacture
【上映期間】
2018.06.16(土) – 終了日未定・3週間以上上映予定
【上映時間】
2018.06.16(土) – 2018.06.22(金)
朝10:00〜12:24 昼12:40〜3:04 昼3:20〜5:44 夜6:00〜8:24
2018.06.23(土) – 2018.06.29(金)
朝10:00〜12:24 昼3:10〜5:34 夜8:20〜10:44
※6月23日(土)3:10の回は日本語吹替版
*6月30日(土)より上映時間変更
【会場】
シネマ5
大分市府内町2丁目4-8
TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536
オフィシャルサイトhttp://www.cinema5.gr.jp