大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5。
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。
一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。
個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。
そして何より空間が素晴らしい。
そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。
今回の旅は、『さよなら、僕のマンハッタン』
どうぞ、お楽しみください!
第二十便『さよなら、僕のマンハッタン』
青春時代は、遥か遠く
いつの間にか私は、
黄昏に沈む太陽を眺めるお年頃になっておりました。
今回のこの映画、遠き日のきらめきのような作品だろうと。
そーいえば、そんな気持ちの時もあったかなー、と感じるくらいの作品かと思っていました。
でも、違った…。
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大学を卒業し、親から離れて一人暮らしをするトーマス。
片思いの女の子ミミを誘って出かけた店で、父親とその愛人が一緒にいるところを目撃する。
いくあてのない人生。全てが色あせて終わってる。
わかったふりをしている自分にも、本当は嫌気がさしているトーマス。
わかっているけど、何にもわかっちゃいない自分。
アパートの隣に越してきた中年男が話しかけてきた。
中年男「悩んでるな」
トーマス「いろいろとね」
中年男の助言で、トーマスはその愛人の後をつける。
なんとなく彼女に惹かれてゆく自分をごまかしながら…。
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と、ここまで読んでも、お決まりの青春ものっぽい。
ニューヨークだか、マンハッタンだかの、乾いた街の片隅で
なんかちょっと洒落た物語になるのかしらん?と思っている方、
当たり。
そして、はずれ。
この作品、若い人が見ても共感して「いい」と言うだろう。
でも、隣の中年男を演じているのが、ジェフ・ブリッジスですからね。
大人の映画なわけです。
主人公トーマスと一緒に、この映画を見進めてはいけない。
私から言わせれば、若い世代は見なくていい。
円熟しかけている方々にぜひ、見ていただきたい。
青春時代を遥か遠くにおいてきた大人たちに、
この限りある人生の後半に、人は結局ひとりであって、
思い出と後悔と孤独と生きていかなければならない。
そんな大人たちをジェフ・ブリッジスはじめ、ピアース・ブロスナン、シンシア・ニクソン、ケイト・ベッキンセールという深みのある役者が演じているわけです。
とにかく、見る!
自分の心がどう反応するのか、観る。
この映画の原題が「The Only Living Boy in New York」であるために、同タイトルのサイモン&ガーファンクルの曲がクローズアップされているけれど、
私はボブ・ディランの曲に涙した。
『さよなら、僕のマンハッタン』
監督|マーク・ウェブ
出演|トーマス・ウェブ、W・F・ジェラルド、ミミ・パストーリ、イーサン・ウェブ、ジョアンナ、ジュディス・ウェブ
配給|ロングライド
© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
http://www.longride.jp/olb-movie/
【上映期間】
2018.05.19(土) – 2018.06.01(金) 2週間上映
【上映時間】
5月19日(土)〜5月25日(金)
朝10:00〜11:37 昼2:25〜4:02 夜9:00〜10:37
※5月22日(火)夜9:00の回、休映
5月26日(土)〜6月1日(金)
夜6:05〜7:42
【会場】
シネマ5
大分市府内町2丁目4-8
TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536
オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp