映画の一刻 ~日常とシネマの旅~ 第27便『洗骨』2019.03.16sat – 05.03fri @シネマ5

大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5。
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。

一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。

個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。
そして何より空間が素晴らしい。

そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。

今回の旅は、『洗骨』
どうぞ、お楽しみください!

 

『洗骨』

 

個人的な話ですが、
数週間前、あの世へ父が旅立った。
それなりに高齢ではあったがまだまだ生きていてくれると思っていた。
なんだか彼の不在が、不思議だ。
離れて暮らして30年以上。
実家に戻ると、父はニコニコしてソファーに座っていた。
だから、今でも帰るといるような気がして、
いないという事実が、未だ信じられない。

ーーー

すべての人に、人生の終わりは来る。
乗り越えるとか、受け入れるとか関係なく、それはある。

そんなことをぼんやり考える日々の中で、今回の映画『洗骨』を見た。

〈洗骨〉とは、沖縄の粟国島に残る風習で、遺体を風葬し、その4年後に朽ち果ててきた遺体をもう一度取り出して、身内が集まり、洗う。きれいに骨だけにして、納骨する。

母・恵美子の洗骨のために東京から戻ってきた長男の剛。
実家には、母の死を受け入れきれず、隠れて酒を飲む頼りない父・信綱がいる。
名古屋から帰ってきた長女の優子のお腹は膨らみ、一同驚きを隠せない。
それでも、数日後の洗骨に向けて、準備が進む。
家族、それぞれの生活があり、いろいろな悩みを抱えて生きている。
それを先に逝った死者が結びつけてゆく〈洗骨〉。

深刻な人生も、肩の力を抜いてスルリと受け入れてみれば、
意外と軽やかで清々しいではないか!と、この映画は思わせてくれた。

ちなみに、この映画は照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)監督作品。
作品全体を優しい笑が包み込む、かなり傑作!です。

ーーー

映画を見終わった私の心はとても爽やかだった。
父の不在は私の中で不思議なままだけど…。
それでも前に進んでいく!青い空の彼方を見上げながら。

 

 

『洗骨』
監督|照屋年之
出演|奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女、大島蓉子、坂本あきら
配給|ファントム・フィルム
2018年 / 日本 / 111分
http://senkotsu-movie.com

 

【上映期間】
2019.03.16(土) – 2019.05.03(金)

【上映時間】
3月16日(土)〜3月22日(金)
朝12:10〜2:08   昼4:35〜6:33 夜8:55〜10:53
※19日(火)夜8:55の回は休映です。

3月23日(土)〜3月29日(金)
朝9:40〜11:36   夜6:35〜8:31

*3月30日(土)より上映時間変更

【会場】
シネマ5
大分市府内町2丁目4-8
TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536
オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp

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