大分の中心市街地、五番街にひっそりと佇む小さな老舗映画館、シネマ5。
メジャーな映画ではなく、いわゆるミニシアター系の映画を上映している映画館だが、その映画選びは個性的。
一時期東京でも流行った、ファッション的要素の強いミニシアターではなく、どこか日本の奥ゆかしさを秘めている。
個性的な映画選びだが、ちゃんと幅広い層が楽しめるようにもてなしてくれる。
そして何より空間が素晴らしい。
そのシネマ5副支配人である大西さんにシネマ5&シネマ5bisで上映される映画の中で超個人的にオススメな映画を紹介して頂く、映画の一刻(ひととき) ~日常とシネマの旅~。
今回の旅は、『芳華-Youth-』
どうぞ、お楽しみください!
『芳華-Youth-』
もしかして、このYadorigiの「映画の一刻」で紹介するのは初めてかも!中国映画。
そう、今回は中国映画『芳華(ほうか)』です。
ーーーーーー
軍隊の兵士たちの士気を鼓舞するための、歌や踊りを披露する文工団(軍隊の中の歌劇団のような組織)の若者たちを主人公に、1970年前後の中国文化大革命終盤から始まり、毛沢東の死、中越戦争と、時代に飲み込まれながら長い年月を辿っていく青春ラブストーリーです。
ちなみに、中越戦争とは、中華人民共和国とベトナム社会主義共和国との間の戦争で、ベトナム人民軍を相手に中国人民解放軍は大きな損害を受けて撤退した戦争でした。
文工団にダンスの才能を見出され入団する主人公の17歳のシャオピン。不器用で周囲になじめないシャオピンに、何気なく手を差し伸べてくれる模範兵のリウ・フォン。彼に想いを寄せるシャオピンですが、リウ・フォンの目が追いかけているのは劇団の歌姫リン・ディンディンでした…。
前半は、淡い恋心を美しい踊りと歌にのせて、キラキラ輝く10代後半の夏が綴られます。そして、いつまでも一緒だと思っていた仲間たちも、やがて社会の変革によって別々の道を辿り、それぞれの想いを押し流して何十年もの時が流れていきます。
ーーーーーー
この映画を見終わって、若い恋愛のあれこれに共感するよりも、その後のシャオピンとリウ・フォンそれぞれが苦難を乗り越えていく時間が、とても心に染みました。
そして、私が20代に見た『ラブソング』という映画が浮かんできました。テレサ・テンの曲に乗せて、中国大陸から香港に渡る男女の10年(1980年代から1990年代にかけて)の恋愛を描いた映画で、大好きな作品です。時代に翻弄されながら、いずれはたどり着く場所が誰にもあるのかもしれません。
『芳華』の余韻が、記憶の中の作品の余韻とつながって、とても心豊かな気持ちになりました。
『芳華-Youth-』
監督|フォン・シャオガン
出演|ホアン・シュエン、ミャオ・ミャオ、チョン・チューシー、ヤン・ツァイユー
2017年 / 中国 / 135分
http://www.houka-youth.com
【上映期間】
2019.05.25(土) – 2019.05.31(金)
【上映時間】
朝10:00
※25日(土)~27日(月)は、20:20の回、追加
【会場】
シネマ5bis
大分市府内町3丁目7−7
TEL 097-536-4512 / FAX 097-536-4536
オフィシャルサイト http://www.cinema5.gr.jp