Pickup対談。前田亮二×吉川緑の場合。

現在アートプラザで開催されているPickup Artist Exhibition vol.3。

参加作家である前田亮二さん(染色作家)と展覧会のコーディネーターである吉川緑さんによる対談。

楽しむ事の大切さと日本の大学、工芸について鋭く切り込みます!

 

吉川緑(以下、吉川):今回、前田ロボ、6、7、8、9号。

Yadorigi編集長一尾(以下、一尾):名前がちゃんと付いてるんだ!!

前田亮二(以下、前田):あははは

吉川:疑問なんですけど、これ親子ですか?

前田:今回は1つとしてお父ちゃん、お母ちゃんと子ども2人という、、

吉川:やっぱり!

前田:一応、視線はお父ちゃんの方に向けるように。それで今回は作ったので。

吉川:ロボット良く作られてますよね?樹脂のね、中に入れたり。今回ミュージアムショップで販売してるのもロボットで。

前田:今回はロボットで統一しようと思って。ちょっと前に作ってたシリーズなんですけど自分がこの話をもらった時に何を作りたいかなぁって思った時に純粋な染色に戻ってみようと思って。以前作ってた続きをしようと思って。間が空いてやったりもするんですが、死ぬまでに100号くらいまで作りたいかなって。

吉川・一尾:へぇー

前田:今まで9体作ったんですけど、それをライフワーク的にちょこちょこ進めながら100体くらいまで作ろうかなと。

吉川:型染めでしたっけ?

前田:一応、型網を使って、型染めですと糊を置いて防染してっていう行程があるんですけど、自分の場合は型を作ってステンシルで刷り込みでやってる状態になるんですけど。

吉川:染色をした事がないので、、

前田:結局、染色って色が多いと滲みますし、一回置いた色は消す事が出来ないから汚したら、またそこに色を置いて、プラスでしかないんです。そういうなんですかね、面倒くさいところはあるんですけど。染料が絵画と違うのが絵画は上から色を塗るんですけど、染めっていうのは繊維に色を浸透させるので自分はそういう色合いが好きなんですよね。見た目に分かる訳ではないんですけど表面が違うんですよね。上に塗り重ねるんじゃなくて、その物に色が入っていくってことが。

吉川:芸短の学生だったときから染色されてるんですか?吉村先生?

前田:元々、芸短に入った時もデザインの方で受けて、補欠で工芸に回されて、、笑

吉川・一尾:あははは

前田:工芸の半分くらいはビジュアルからの回りものですから。で、そこで陶芸と染色があって陶芸に進もうかなって思ってた時に、染色の先生が凄く興味のある先生で。その時に染色っていうコースがあることも初めて知ったぐらいなんですけど、やってるうちに面白いなって思ってそれからという感じになるんですけど。

吉川:吉村先生ですよね?

前田:そうです。

吉川:吉村先生。吉村正郎さんっていう方が居るんですけど、去年アートプラザで吉村先生を取り上げてグループ展ですけど、吉村正郎とその仲間達展っていう。

一尾:あははは

吉川:吉村先生はとても生徒さんに凄い慕われてるので、周りにいつも教え子の子たちがいて。そういう方なので周りの方も取り上げようってことで。で、前田さんも。

前田:一緒に。

吉川:あぁ、そうなんですか。

前田:メインは吉村先生で自分らはちょろっと。

吉川:その前にも個展をアートプラザで部屋借りてしてもらってて。凄いあの時も吉村先生、、なんか可愛いですよね?こんな事言っちゃいけないけど。笑

前田:ちょろちょろしてる。笑

吉川・一尾:あははは

吉川:皆、凄い吉村先生の事が好きで、、

前田:そうですね、自分らも大学に入っていろんな事を教えてもらって、制作は固よりなんですけど、遊ぶ事とかそういう風な中で生まれてくる作品とか。それが大学生活の在り方だっていう風な事を色々、学ぶことが出来まして。ですから勉強だけ、制作だけというよりも、皆で何かをしてるうちに作品っていうのは生まれてくるんだなって。感性を磨くっていう事を教えてもらった気がして、その時の連中とは繋がってますし、各地で制作もしてますし、自分もそういう事を今後、学生達に伝えていけたらいいなって常々思っていますけども。

吉川:非常勤講師してるんですよね?

前田:あ、はい。

吉川:授業とかもあるんですか?

前田:ほとんどないですけどね。前期に週に2回程ある程度なんで。

吉川:吉村先生と皆で合うときは何をしてるんですか?飲んだり?

前田:そうですね。

吉川:先生はご容体は?

前田:ペースメーカー張ってますけど元気ですよ!笑

吉川:この間、来てて。

前田:オープニングの時は風邪引いてたみたいで止めといたらしんですけど。

吉川:先生は作品の発表とかは?

前田:今は家でゴソゴソ作りたいもの作ってる感じで。でも常に何か作ってますね。そういうとこからも自分らも刺激をもらいますし、学校が終わって見てても根本的に物を作る事が好きなんだろうって。それも教えて頂いたことの1つではありますし。基本的に何かを作る事の楽しさみたいなのを色々教えられた気がしますね。

吉川:この間もお話しした時に楽しいっていうのは大事っていう話をしました。当分は染色に戻ってっていう感じ?

前田:今年はちょっとそっち方面で行こうかな、と。去年がファイバーをいっぱい、四角いものばっかり作ってたんですけど。今年は染めに戻って。フンドーキンマンションさんの現代アート的なものが大分でも増えてきて、観に行って楽しくて色々刺激をもらいながら、ちょっとふと、自分の中でアートと職人と何かどうなんだろうっていうような、自分の中で葛藤とか色々、自分が何をこれから、もちろん自分はアートの方で行きたいと思ってやってるんですけど、現代アートっていうものを観ていくうちに、ちょっと現代アートって何だろう?っていう疑問が巡る事が出て、そういうのもあって純粋な染色を一度しっかり見直そうかな、と。で今回の展示は染色の平面でしてみようかと。

吉川:今、竹田市にお住まいですよね?

前田:あ、はい。

吉川:竹田って芸短のキャンパスが、、あれは卒業生の方が使ってるんですか?

前田:竹田に芸短の課外キャンパスが出来まして、廃校になった小学校なんですけど、そちらで自分は滞在制作っていう形をとってるんですけど、学生達が合宿とか、泊まる事も出来ますんで、ちょこちょこ来たりはしてるんですけど、なかなか足が無いもので。夏場はゼミ単位で合宿とか来るんですけどね。使い方自体も模索中なところがあって。まぁ学生も環境を変えて学べるってこともありますし、そこで遊ぶ事も大切ですし。

吉川:竹田市は今、アートのプロジェクトが、、

前田:色々やってますね。

吉川:草刈さんやオレクトロニカ。

前田:児玉くんと加藤くん。

吉川:彼らとも交流はあるんですか?

前田:何かする時には必ず観に行ってます。この間も熊本のetuさんの方に覗きに行って来たんですけど。竹田の方も色々やってる人がいてこちらも刺激になりますし、皆、動いてるっていうのが嬉しいです。勝手にですけど。笑

吉川:染色って工芸になるんですね。

前田:工芸です。

吉川:でも何か、絵っていうか、、

前田:自分の場合、布に絵を描く感覚でしてるもので本当は植物染料とか使った方が色味とかも綺麗ですし落ち着きはするんですけど、いろんな色を使うってなると植物では出せない色が多すぎて自分がやってるのは化学染料を使ってるんですけど。

吉川:工芸はどんどん無くなってて、陶芸コースとかすぐ無くなっちゃいますもんね。

前田:無くなります。芸短も陶芸も染色も無くなりましたし。

吉川:え、無くなっちゃったんですか!?

前田:世の中の流れ的に結局、大学自体も学生を確保しなきゃいけないし、そうなると就職に関わるとなるとコンピュータ関係が多くなるし、親御さんの立場からしてもそうなんでしょうけど。そういう意味で手作り関係はアート面に関しても難しい事にはなってるんでしょうね。ですけど個人的には1~10まで自分の手で物を作るっていう事は凄く大事な事だと思いますし、それが出来上がった時に嬉しさがありますし、まぁ失敗した時はまた次ぎに行けばいいってだけの事ですし。失敗もありますけど、自分の手で何か一つのものを作り上げることを学生達にも教えていけたらなって思いますけど、今のご時世は難しいのかな。笑

吉川:工芸発展途上国っていう、、

前田:あれは反発から来てます。笑。個人的な意見なんですけど、どこもなんですけど子どもが少ないっていうのもありますし、大学というよりも専門学校化してるかな、というイメージがありまして。自分らが先生からそういう風な教えを受けて来たからかもしれないんですが、大学って上級生も下級生もなくて、酒飲んでたら「おいでよ!」って輪が広がっていって、そこで美術談義が広がり、あれをしよう、これをしようってなっていく場所かなって。親御さんからしたら凄く無責任な事ではあるんですけど。それでも、そういう所に来てる子達っていうのは純粋に何かを作りたくて来てる子なのかな、思ったんですけど。でも学生が集まらんかったら大学自体が無くなるから。笑

吉川・一尾:あははは

前田:工芸も美術もそうですけど、何が何でもそれでやっていこうっていう子達がほとんど居ないですけど一人でも二人でも出て来てくれれば、こちらからしたら凄く嬉しい事です。

吉川:教える立場でもあり、自分の制作もって大変ですよね。

前田:まぁ、自分の制作は好き勝手やってますから。笑

一尾:でもそれが大事ですよね。その姿を見て感じ取ってもらえたら。

前田:そうです。作っていくのは楽しい事ですし、それはずっと続けて行こうと思ってます。

前田亮二 Maeda Ryoji

1974年 愛媛県出身

2001年 大分県立芸術文化短期大学専攻科(染色)修了

2010年より竹田キャンパス(旧下竹田小学校)にて居住制作。

県内外で個展、グループ展、ワークショップ等、精力的に活動している。

近年の主な展覧会

2012年 テキスタイルの未来形(北海道/網走私立美術館)。吉村正郎とその愉快な仲間達展(大分/アートプラザ)。

2013年 AUF展(京都/京都市美術館)。MINIARTEXTIL(イタリア/コモ)。

新制作協会 会員。大分県立芸術文化短期大学 非常勤講師。

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